当事務所の解決事例

2022.07.12

【No.167】事故で亡くなられた70代年金生活者の男性について、賠償金1120万円の増額に成功した事例

相談者:男性Sさん
職業:無職(年金生活者)
事故の内容:死亡事故

項目名 依頼前 依頼後
治療費 500,000円 500,000円
入院雑費 5,500円 7,500円
入院付添費 0円 16,000円
入通院慰謝料 20,000円 88,000円
その他費用 3,000円 3,000円
葬儀費用 1,000,000円 310,000円
死亡逸失利益 11,330,000円 5,130,000円
死亡慰謝料 4,000,000円 22,000,000円
合計 16,858,500円 28,054,500円

 

背景

70代年金生活者の男性Tさんは、自転車を運転して道路の左側を走行していたところ、後方から走行してきた普通乗用自動車に衝突される事故に遭いました

Tさんは、重症頭部外傷の怪我を負って総合病院に救急搬送され、事故の4日後に亡くなられました。

弁護士の関わり

事故の約5カ月後、相手方損保から示談の提案を受けた段階で、相続人の方からご依頼いただきました。

相手損保の示談案を見ると、葬儀費について実際にかかった金額を超える定額が認められていたり、死亡逸失利益の算定に当たり、Tさんが事故当時年金生活者で無職であったにも関らず年齢別平均給与額を基礎とする逸失利益が年金の逸失利益に加算されていたりと、項目別にみると、訴訟をした場合よりもかなり多額の賠償金が計上されている項目もありました。

他方、死亡慰謝料についてはわずか400万円しか計上されていませんでした。

賠償金額が大きくなることが予想され、既に相手損保からの一応の提示もあったことから、ご依頼後は、すぐに、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。

申立後、相手方(実質相手損保)も、弁護士を介入させました。

相手方弁護士からは①慰謝料は2000万円が妥当では無いか、②年金の逸失利益の生活費控除率は70%が妥当では無いか、といった主張がなされました。

当方から、裁判例上、2000万円という慰謝料金額は低額に過ぎ、70%という生活費控除率は高すぎる、という主張をおこなったところ、あっせん案では、慰謝料金額は2200万円、年金の生活費控除率は60%とされ、このあっせん案の内容で和解が成立しました。

所感

Tさんのケースでは、年金の逸失利益の生活費控除率、が問題となりました。

事故で亡くなられた方の逸失利益は、事故前の収入に、平均余命を乗じて、これに利息を考慮して減額(ライプニッツ係数をかける)して金額を出します。

このようにして出された金額から、さらに、生活費控除率、というものを減じて、最終的な金額を出します。

要するには、亡くなられた方には、今後の生活費はかからないので、生きておられれば生活費として消えていったであろう分の金額は、受け取れる逸失利益の額から減らす、という考え方です。

生活費控除率は、何%、とはっきり決まっているわけでは無く、幅のあるところですが、特に年金の場合は、その多くが貯蓄されずに生活のために使われていくだろう、という考え方のもと、生活費控除率が高めに判断される場合が多いです。

Tさんのケースでは、交通事故紛争処理センターでの手続に乗って、被害者側、損保側双方の弁護士が主張を突き合わせることにより、妥当金額で和解することができました。

交通事故に遭われた方は、当事務所にご相談ください。