物損事故の損害賠償

衝突事故
交通事故の物損と言えば、交通事故により、車そのものや、車に積んであったもの、または身に着けていたものに生じる損害のことです。

他方で、事故で生じる怪我や人の死という結果が、人損です。人損が発生する場合は通常物損も発生します。他方で、人損が生じず、物損だけが生じる事故もあります。

注意すべきことは、物損については、自賠責保険は支払われないということです。物損については、任意保険会社から賠償気の支払を受けるよりほかありません。

車の物損については、大きく分けて以下の2つに分類することが可能です。

ケース 内容
車が全損(経済的全損を含む)の場合 自動車の修理が技術的に難しい場合、全損として事故時の車の時価が賠償額になります。
時価とは、市場で売れたはずの金額のことです。
修理が困難な場合に加えて、修理費用が事故時の時価額を超えてしまう場合(経済的全損)にも、時価額が賠償金になります。加えて、買い替えまでの代車料も請求することが可能です。
車の修理が可能な場合 自動車の修理が可能な場合は、修理代金が損害賠償の対象になります。
修理期間中の代車料も認められますが、これは20日間程度が上限になります。
事故で車が大きく壊れてしまった場合、例え修理することができたとしても、「事故車両」ということで、車両の評価額が下がってしまいます。これが評価損です。

保険会社はこの評価損については認めないと主張するケースがよくありますが、比較的高級な車で初年度登録からおおむね3年以内の場合には、修理費用の2~3割程度は評価損として請求できるケースがありますので、賠償金に含まれていない場合には、保険会社にしっかりと請求することが重要です。

また、経済的全損を含めて車両が全損となり新たな車両を購入した場合には、登録諸費用の一部(法定登録費用、ディーラー手数料など)が認められます。だいたい、10万円未満の金額ですが、黙っていると保険会社から提示してくれない場合が多いので、新たに購入した車両の契約書をしっかりと見せてこちらから請求することが重要です。

加えて、当初は物損事故だと思っていた場合であっても、しばらく経ってから、事故が原因だと思われる痛みや痺れなどが現れることもあります。交通事故直後には物損事故だけだと思っていた場合であっても必ず警察に通報しましょう。