当事務所の解決事例

2021.08.19

【No.133】14級9号認定の70代法人代表の男性について、賠償金203万円の獲得に成功した事例

相談者:男性Kさん
職業:法人代表
後遺障害の内容:14級9号

項目名 獲得金額
治療費 1,120,000円
通院交通費 5,000円
休業損害(間接損害) 110,000円
入通院慰謝料 1,020,000円
文書料 5,000円
後遺障害逸失利益 570,000円
後遺障害慰謝料 880,000円
過失相殺(-15%) 556,500円
合計 3,153,500円

 

背景

70代法人代表の男性Kさんは、四輪車を運転して公道を走行中、左手の路外の店舗駐車場から公道に進入しようとした四輪車に衝突される、という事故に遭いました。

Kさんは、頸椎捻挫等の怪我を負い、整形外科に7か月半通院し、症状固定となりました。

弁護士の関わり

事故の1カ月余り後の段階で、息子さんを通じてご依頼いただきました。

事故後、まずは、物損に関する示談交渉を開始しました。

本件事故により、Kさんの車両は、修理費用が事故時点の時価額を上回る「経済的全損」の状態となってしまいました。

この場合、賠償金額は、基本的に事故時点の「車両時価額」となります。

加えて、裁判例上は、車両が全損になったために新しい車両を購入する必要が生じた、ということで、登録届け出費用などの新車両購入に際しての諸経費を請求することができます。

ただ、この新車両購入に当たっての諸経費は、弁護士が入って交渉をおこなわないことには、なかなか支払われないのが現実です。

Kのケースでは、車両時価額および車両時価額に対する消費税額の他に、諸経費として、約6万円からKさんの過失割合相当額を減じた約5万円の支払を受けることができました。

その後、事故から約7カ月半が経過し、主治医の見解としても症状固定であろう、ということで、後遺障害の申請をおこなったところ、首の痛みの症状について、14級9号の認定を受けることができました。

認定された後遺障害等級を前提に、賠償交渉を開始しました。

ここで、Kさんは、法人の代表であったものの、役員報酬を受けていたわけでもなく、個人としては年金以外無収入でした。

このような場合、法人自体に損害が生じた、今後生じるおそれがある、ということで、法人からも委任状を取り付け、法人の損害として、休業損害や後遺障害逸失利益を請求していくのが通常の流れです。

ただ、Kさんが代表を務める法人は、法人税が課税されない法人であったため、法人税申告のための決算書等も作成されておらず、法人の収入を示す客観的な資料がありませんでした。

そのような中で、休業損害、後遺障害逸失利益いずれについても、ある程度計上された示談案を引き出すことができました。

ご本人にこの示談案を示し、安全策を取って、示談となりました。

所感

Kさんは、法人の代表者であったものの、個人としては年金以外に収入が無く、休業損害や後遺障害逸失利益の請求が難航することが予想されました。

株式会社を含め、法人の代表者や役員については、税制上、期首に報酬年額を決定する必要があることから、事故によりお仕事を休まざるを得なくとも、収入が減りません。

ただ、このような場合、被害者本人の収入は減っていなくとも、被害者がお仕事をできていないのに役員報酬を支払わざるを得なかったことで法人に損害が生じた、ということで、法人から委任状をいただき、法人の損害として休業損害を請求していきます。

Kさんのケースでは、法人の売上・利益を示す客観資料も無く、賠償請求が難航することも予測されましたが、幸いにして、示談交渉段階で、ある程度、休業損害も後遺障害逸失利益も支払を受けることができました。

事故に遭われた法人代表・役員の方は、是非早めに、当事務所にご相談ください。