当事務所の解決事例

2024.01.25

【No.235】8級6号認定の70代年金生活者の男性について、賠償金1500万円の獲得に成功した事例

相談者:男性Mさん
職業:年金生活者
後遺障害の内容:8級6号(1上肢の関節用廃)

項目 獲得金額
治療費 4,690,000円
付添費 250,000円
入院雑費 100,000円
通院交通費 5,000円
装具代 200,000円
文書料 5,000円
傷害慰謝料 1,840,000円
後遺障害慰謝料 8,300,000円
将来介護費 4,500,000円
合計 19,890,000円

 

背景

70代年金生活者の男性Mさんは、デイサービスを利用しており、その送迎車両に乗車していました。Mさんの乗車した車両が公道を走行して信号機のない交差点に至り、直進進行しようとしたところ、Mさん乗車車両から見て左側から、一旦停止の規制を無視して直進進行してきた普通乗用自動車に衝突される事故に遭いました。

Mさんは、事故直後に救急車で総合病院に搬送され、左肘関節開放骨折、左大腿骨骨折等の診断を受けました。Mさんは、救急搬送後、約2カ月間入院して治療を受け、退院後は、3カ月半にわたって通院し、症状固定となりました。

弁護士の関わり

事故の約2カ月余り後、息子さんを通じてご依頼をお受けしました。

ご依頼後、しばらく治療を継続いただき、症状固定に至ったということで後遺障害申請を行ったところ、左肘が痛く、左肘関節を動かすことができない、という症状について、後遺障害等級8級6号「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」という認定を受けることができました。

認定された後遺障害等級を前提に、相手方損保と示談交渉を開始しました。

そうしたところ、相手方損保からは、既払い金を除いて約993万円を支払う旨の示談提案がなされました。

この示談案には、将来介護費は一切計上されていませんでした。

Mさんにこの示談提案をお伝えしたところ「この金額で示談してしまっていいものかどうか、わからない」ということであったので、上の手続に持っていけば、将来の介護費の一部が支払われる可能性があることをご説明して、交通事故紛争処理センターへの申立を行うこととしました。

センターでは、事故前と比較して、Mさんの介護施設の利用頻度が大幅に増加したこと、要介護度が1から4に上がったことなどを主張しました。

こちらの主張を受けて、嘱託弁護士から相手方損保に対する説得が入った結果、相手方損保から、将来介護費としての450万円の追加をはじめ、他の項目も示談交渉段階よりも増額し総額1500万円を支払う旨の和解提案が示され、和解となりました。

所感

Mさんのケースでは、弁護士介入後の相手方損保の示談案においては、将来介護費が一切計上されていませんでした。

この点、交通事故が原因で介護が必要な状態になってしまった場合には、将来にわたる介護費用を請求することができます。

一般的に、将来の介護費用が認められるのは、遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷といった、極めて重篤な後遺障害が認定されたケースです。

ただ、実情に応じて、関節機能障害やCRPSの7級~9級の後遺障害であっても、将来介護費用が認められた裁判例もあります。

Mさんのケースでは、認定された後遺障害は関節用廃の8級で、一般的に介護費用が認められる後遺障害ではありませんでしたが、介護施設の利用頻度の増加や要介護度の進行といった実情があったことから、あくまでも将来介護費を求める方針で手続を進め、この支払いを得ることができました。

事故後、お怪我をされて、介護が必要になってしまったという方は、是非当事務所にご相談ください。