当事務所の解決事例

2022.04.01

【No.155】12級相当認定の50代自営業の男性について、賠償金・保険金697万円の獲得に成功した事例

相談者:男性Tさん
職業:自営業
後遺障害の内容:12級相当(聴力障害)

項目名 獲得金額
治療費 730,000円
通院交通費 20,000円
文書料 5,000円
サウンドジェネレーター等 140,000円
休業損害 5,000円
入通院慰謝料 985,000円
後遺障害逸失利益 2,915,000円
後遺障害慰謝料 2,900,000円
合計 7,700,000円

 

背景

50代自営業の男性Tさんは、普通乗用自動車を運転して公道を走行していたところ、左側の路外の店舗駐車場から、右折しようと道路に進入してきた普通乗用自動車に衝突される事故に遭いました。

Tさんは、事故の翌日に整形外科を受診し、頸椎捻挫、背部打撲等の診断を受けました。その後、事故の3日後から、両耳に難聴・耳鳴りの症状が出たことから、事故の約2週間後に総合病院の耳鼻科も受診し、低音障害型難聴、耳鳴症の診断を受けました。捻挫や打撲の症状については整形外科と接骨院に通院して事故の約5カ月後には完治しましたが、難聴と耳鳴の症状については完治しないまま、事故から約7カ月後に症状固定となりました。

弁護士の関わり

事故の約8カ月後、治療が終了した段階でご依頼いただきました。

ご依頼後、まずは、後遺障害の申請をおこなったところ、認定結果は「難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できるもの」として、14級相当、というものでした。

この認定結果に対し、Tさんと検討し、異議申立をおこなったところ、「耳鳴に係る検査によって軟調に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるもの」として、12級相当の認定を得ることができました。

後遺障害の結果が確定したことを受け、相手共済との示談交渉を開始するのに先立ち、本件では、Tさん側にも相応の過失が生じることが明らかであったことから、まずは、Tさんが加入していた保険の人身傷害保険を受け取ることとしました。

人身傷害保険金約352万円を受け取った後、相手損保との示談交渉を開始しました。

当方から示談提案を行ったところ、相手方(実質相手共済)も代理人弁護士に依頼し、以後は、相手方の代理人弁護士と交渉を進めることとなりました。

相手方弁護士からの回答は、「人身傷害保険金は、被害者側の過失に相当する部分に充当されるべきである」という考え方は採用していたものの、慰謝料等の金額が低く抑えられ、またサウンドジェネレーターの費用も計上されておらず、結果的に、差し引き支払金額を約28万円とする提案でした。

当方としては、この示談提案を不服として、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。

申立後は、サウンドジェネレータの必要性につき、Tさんの主治医に医療照会を取るなどの立証活動をおこない、結果として、差し引き約114万円を支払うべき旨のあっせん案が示されました。

相手方、Tさんの双方がこのあっせん案を受け入れ、あっせん案の内容で和解となりました。

所感

Tさんのケースでは、結局、あっせん案においては、Tさんに20%の過失が認められていました。

物損についてはTさんの過失割合を15%として示談が成立しており、当方の請求も、Tさんの過失割合は15%として請求をおこないました。

この点、当事務所ホームページにおいて繰り返しお伝えしているところですが、現状の判例においては、自身が加入している人身傷害保険は、自身の側の過失に充当される、ということになっています。

そうなると、過失割合の程度にもよりますが、人身傷害保険を先に受領できれば、過失割合が20%であろうと30%であろうと、保険金と賠償金合わせて受領できる金額に違いはない、ことになります。

このように、人身傷害保険の仕組みを上手く活用することにより、ご自身に過失が生じてくることが避けられない事故であっても、人身傷害保険金と賠償金を合わせれば、ご自身に過失がない場合に得られる賠償金と同程度の金額を得られる可能性も十分にあります。

ただ、人身傷害保険金をこちらの過失分に充当するためには、基本的に人身傷害保険金を相手方からの賠償金よりも先に受領する必要があります。にも関らず、人身傷害保険の保険会社からは「差額が出た場合の後払いです」などと事実上先払いを拒絶されたりして、人傷保険金を自分の過失分に充てるにはかなりの困難を伴いますので、弁護士に依頼されることを強くお勧めします。

交通事故に遭われ、ご自身の側にも過失が生じてくるという方は、是非、できるだけ早い段階で、当事務所にご相談ください。