醜状(しゅうじょう)の後遺障害

交通事故怪我の箇所によっては、傷跡ややけどが残り、醜状(しゅうじょう)と呼ばれる後遺障害になることがあります。
等級認定においては、醜状の場所が目立つ場所にあるのかどうか、が問題になります

この点、かつては、性別が男性か女性かによっても、等級が異なりました。しかし、2010年に京都地裁で性別の違いによって後遺障害等級が異なる男女平等を定めた憲法に違反するという判決があり、その後の醜状障害における男女差による等級認定差はなくなりました。

現在の醜状障害における後遺障害の認定基準は以下の通りになります。

醜状障害の認定基準

等級 認定基準
7級 12 外貌に著しい醜状を残すもの
9級 13 外貌に相当な醜状を残すもの
12級 13 外貌に醜状を残すもの
14級 3 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
4 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

 
外貌に著しい醜状を残すものとは、以下のいずれかに該当する場合のことになります。

①頭部に手のひら大以上の瘢痕(はんこん)、あるいは頭蓋骨の手のひら大以上の欠損がある場合。
②顔面部に卵大面以上の瘢痕(はんこん)、長さ5cm以上の線状痕、あるいは、10円玉大以上の組織陥没がある場合。
③首に手のひら大以上の瘢痕(はんこん)がある場合。
※注:手のひら大とは指の部分は含みません。

また、外貌に醜状を残すものとされる場合の「醜状」とは、以下のいずれかに当てはまる場合になります。

①頭部に卵大面以上の瘢痕(はんこん)、あるいは、頭蓋骨の卵大面以上の欠損がある場合。
②顔面部に10円玉大以上の瘢痕(はんこん)、長さ3cm以上の線状痕がある場合。
③首に卵大面以上の瘢痕(はんこん)がある場合。

外貌の醜状において特に注意すべき点は、他人が見て傷を負っていることが明確に分かる場合にはじめて後遺障害として認められるという点です
瘢痕、線状痕、組織陥没があったとしても、眉毛や頭髪によって隠れてしまう部分については、醜状として取扱われない点に注意が必要です。

また、醜状障害の認定に当たっては、残った傷痕の長さと大きさだけが問題となるのであって、その濃さは問題となりません。

薄い線状の傷でも3㎝以上の長さであれば後遺障害が認定される反面、非常に濃い瘢痕であっても、10円玉大に満たなければ後遺障害は認定されません。

醜状障害は見た目の障害であるため、認定に当たっては、認定機関である自賠責調査事務所における面談調査がおこわれます。
後遺障害診断書に醜状障害の記載がされると、自賠責調査事務所から面談調査の案内が届きますので、面談にいく必要があります

また、醜状障害は、認定された場合に、仕事への影響があるのかどうか、すなわち逸失利益が認められるかどうか問題となる後遺障害の代表例です。

少し前までは、接客業など見た目が特に重要なお仕事でなければ、後遺障害が認定されても逸失利益は認められにくい傾向にありました。

しかしながら、現在では、外貌醜状の後遺障害が、直接業務に影響を及ぼさなくても、見た目が気になって対人関係に消極的になるなど間接的に仕事に影響を及ぼすおそれがあれば、たとえ逸失利益が認められないとしても100万円~200万円の幅で慰謝料が増額するなど、柔軟な解決が図られるようになっています

当事務所では、醜状障害を負われた方に対し、適正な後遺障害の等級認定を得られるように認定のサポートを行っております。
また、醜状障害が後遺障害として認定された場合に、醜状障害に対する適正な金額の賠償金を獲得できるようサポートをおこないます。
醜状障害を負われてしまい、お悩みになられていることがございましたら、お気軽にご相談下さい。